オンラインで出会った人々をリレー形式で撮影。「HOME Limited project」

長引く新型コロナウイルス感染症の流行で、私たちは公私ともに様々な制約を抱えています。社会の在りようが変化する中、フォトグラファーたちもこれまでにない視点で活動を始めており、様々な場所でその成果を目にすることができるようになってきました。

コマーシャルフォト」2020年8月号の特集「STAYHOMEから生まれたフォトグラファーのプロジェクト」では、人々のふるまいが変化した社会の中で新たなプロジェクトをスタートしたフォトグラファーたちの活動を紹介しています。

本記事では、ネット越しにコミュニケーションツールを駆使して撮影に取り組んだ刈馬健太さんのプロジェクトを紹介します。

以下「コマーシャル・フォト 2020年8月号」からの転載です。

110人をリモート撮影して、SNSで発表。刈馬健太「HOME Limited project」

「HOME」は家で過ごす人々をフォトグラファーの刈馬健太がポートレイト撮影するというプロジェクト。「人と会う」「人と話す」「コミュニケーションを取る」、この3つにポイントをおき、様々な分野で活躍している俳優、モデル、クリエイターを撮影する企画だ。

交流ツールはFaceTime。所要時間は1人あたり30分から40分。これまでに110人のポートレイトを撮影し、随時Instagramにアップしている。

AMI AYA(アソビシステム)

リレー形式を使ったリモート撮影でプロの被写体をキャッチした

不要不急の外出が禁止になったことで、フォトグラファーとしての仕事がなくなった。デジタルネイチャー世代と呼ばれることが多い刈馬健太は自粛期間中にオンラインを使って写真でなにか新しいアプローチができないかと考えた。

「みんなが何をしているのかなど、リアルな声を聞きたかった。それがHOMEのアイデアになりました」。

被写体をどう探したのか。友達など知り合いから俳優、モデル、クリエイター、音楽関係など様々な職種の人に声をかけ、そこからリレー形式で広げていった。では実際どのように撮影しているのだろうか。「挨拶して、少し話して、打ち解けたなと思ったら、パソコンのモニターをカメラで撮影していきます。『今はなにをしているのか」『仕事はどうなのか』など、話しながら。こういう状況だったこともあってか、初対面の人ともすぐに打ち解けられたし、なんの違和感もノイズ感もなく、撮影できました。 この機会を充電期間に充てる人もいたと思うんですけど、僕は充電というよりは発信する側になれて良かったなと思っています」。

今回撮った110人のうち70人は初めて会う人だった。自粛期間中にもかかわらず、今後につながる新たなコネクションができたという意味でもやってよかったと考えているという。

甲斐まりか(アービング)

かりま・けんた
1991年生まれ。映像専門学校卒業後、渡米。2016年帰国後、フォトグラファーとしてファッション、カタログ、国内外の雑誌で活動している。
@kenta_karima


コマーシャル・フォト 2020年8月号

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