飛行機写真の教科書
第1回

【飛行機写真の基本】「記録」としての飛行機写真とは

ボーイング787-9/全日空 新千歳空港:5月 機体側面を撮影するスポッティング写真は飛行機写真の基本。 Nikon D500 AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR(36mm相当) F8 1/750秒 ISO100 WB晴天

旅客輸送、物流、防災、救難、軍事など、様々な領域で活躍する航空機。「もしも空を飛べたら、何がしたいか」という人々の願いを具現化し、用途に特化した機体の機能美は、写真の被写体としてもきわめて魅力的です。「飛行機写真の教科書」では、「飛行機写真」の定義から航空機の種類や運用に関する基礎知識、飛行機撮影に適した機材、撮影場所の選定をはじめ、季節や状況ごとの表現テクニックまで幅広くカバー。

一定の専門的な知識と高い撮影技術を必要とし、難易度が高めの撮影ジャンルではありますが、マスターすれば写真表現に大きく幅を持たせられることは間違いないでしょう。

本記事では、Chapter1「飛行機写真の基本」より、飛行機写真が持つ「記録」としての側面に関する解説を抜粋して掲載します。

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飛行機写真の基本はスポッティング写真

ひと口に飛行機といっても用途により多種多様な機種がある上、運用者により形態や塗装も違う。さらには1機1機登録番号が異なるわけで、これらを写真や手帳に記録してコレクションすることが飛行機趣味の原点といえよう。このような楽しみ方を飛行機趣味の本場ヨーロッパではプレーンスポッティングといい、スポッティングを楽しむ人はスポッターと呼ばれる。写真表現としてではなく、記録を目的とした飛行機写真では機体の真横、または真横に近いアングルで撮影するのが基本で、これらをスポッティング写真という。

同一アングルから撮られたスポッティング写真は資料的価値が高い上、飛行機写真における撮影技術の基本要素が多く含まれている。飛行機の動きと光線状態を把握した上で立ち位置とレンズを決定するなど、スポッティング写真には完成度の高い飛行機写真を撮る上での基礎が詰まっている。

機種や塗装の違いをコレクションする

機種の違い

スイスインターナショナルのボーイング777。いろいろな機種を撮影して、写真をコレクションするのが飛行機写真の王道といえよう。
スイスインターナショナルのエアバスA220-100(CS100)。同一アングルの写真を並べることで機体デザインの違いを比較できる。

旅客型と軍用型の違い

ペガサス航空のボーイング737-800。B737シリーズは短・中距離のベストセラージェット旅客機として世界の航空会社で運航されている。
トルコ空軍のE-7Tピースイーグル(B737 AEW&C)。B737をベースにした早期警戒管制機で、大きな板状アンテナが特徴。

塗装の違い

日本航空のボーイング777-300ER。2001年からの現行塗装で、JALのシンボル「鶴丸」が復活。塗装の変遷を追うのも楽しい。
日本航空のボーイング777-300。2002年から2011年にかけて施された「太陽のアーク」をモチーフとした旧塗装。

登録番号の違い

全日空のボーイング777-300ER。登録番号は水平尾翼の前方に記される。登録番号JA783Aの「JA」は登録国である日本を表す。
左と同型機だが登録番号がJA788Aと異なる。レジ番(登録番号:Registration Number)集めも飛行機写真の醍醐味。

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