結婚式とは、多くの人にとって、一生の思い出になる人生の一大イベントです。新郎・新婦の晴れ姿はもちろん、式に出席した親類縁者の顔ぶれや表情は、その日、その瞬間にしか存在しえないものです。それだけに、結婚式を記録に残すウエディングカメラマンの責任は重大。絶対に失敗できない過酷な仕事です。
では、ウェディングカメラマンに求められる技術や素養とは、一体どういったものなのでしょうか。「ウエディングフォト撮影&ライティング実践講座」では、現役のウエディングカメラマンが仕事に臨む際の心構えから段取り、必要とされる技術、仕事環境にいたるまで詳細な解説を行っており、ウエディングカメラマンという仕事を理解するのに最適な一冊です。
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本記事では、Chapter3「ウエディング小物の撮影&ライティングテクニック」より、式場を彩る様々な脇役たちの押さえ方について解説します。
料理は記録としてでなく、イメージカットのように仕上げる
レンズをうまく選択しよう。撮るタイミングも大事
料理は雑誌などでも使えるくらいのクオリティーを目指したいです。単に記録するのでは面白くありません。そうした写真はスマホでも十分。ここでも、その場の空気感とともに料理を写し取りたいです。
この際大活躍するのが望遠レンズです。結婚式の料理は、運ばれてきたときに、いかに短時間で手をつける前に撮影できるかが勝負。望遠レンズであれば離れた位置から、タイミングよく撮影できます。列席者に気を遣わず狙えるのもポイント。ぼけを生かし、立体的に描写してみましょう。
また、料理撮影は扱う光源もきちんと選びたいです。披露宴では光がきれいに入るテーブルと、そうではないテーブルが混在します。例えば、同じ会場でも、自然光で明るいテーブルもあれば、間接照明でやや暗めのテーブルがあったりするのです。どのテーブルが見栄えよく料理が撮影できそうか、事前にチェックしておくと安心です。いい光が入るテーブルを中心に、ばらつきなく料理の撮影が行えます。手をつける前と、食べている最中の風景を、うまく押さえておきましょう。
テーブルコーディネートをおしゃれに撮影する
アングル違いなどでパターンを撮っておこう
テーブルコーディネートも新郎新婦がこの日のためにこだわって選んで装飾しています。俯瞰して全景を入れてみたり、寄ってパーツで切り取ってみるなど、いくつかパターンを撮っておくと、アルバムをつくる際にも重宝します。左の写真はアングルを下げ、背景に披露宴会場の様子を入れ込んで描写しています。このようなちょっとした工夫をするだけでも、イメージカットに仕上がります。
テーブルナンバーを前後ぼけでドラマチックに
グラスの並び方に注目して構図する
各テーブルに設けられたテーブルナンバーも個性的に彩られたものが多いです。テーブルは全景でも撮りますが、こうした装飾にも注目してうまく切り取ってみましょう。ここではレンズを望遠にし、並んだグラスが前後ぼけをつくる位置から撮影。手前のグラスを大きくぼかして入れることで、覗き見るような視点を演出しています。グラスに反射した光もアクセントになっています。
ウェルカムボードをイメージカットとして撮る
ふたりの表情に注目してピントの範囲を決める
ふたりの写真が並ぶウエルカムボードを、表情が印象的なカットにピントを合わせて撮影。絞りを開いてほかをぼかすことで、イメージカットに仕上げています。写真は情報量が少ないほうが、イメージカットの意味合いが強まります。ここでは寄りすぎずに全体を入れて撮っているのもポイントです。きちんとどんなふうに写真が飾られているのかが、全体でわかるように撮影しています。