アニメーション作品において、ある事象や現象の「動き」を表現するにあたっては、主体となる登場人物や物体を動かすほかに、動きに伴って環境に変化が起きたことを示す「エフェクト」の描写が必要です。
作品世界で起きた現象を表現するのにきわめて重要な要素でありながら、それ単体では注目されにくい「エフェクト」。アニメーターは現実に起こりうる現象から、物理法則を無視した表現にいたるまで、あらゆるシーンで説得力のある視覚効果を描く必要があります。
「アニメーションのエフェクト作画テクニック」では、「弱虫ペダル GLORY LINE」や「楽園追放 -Expelled From Paradise-」などの作品でエフェクト作画監督をつとめたアニメーターの小澤和則さんが、様々なエフェクトの作画技術を伝えています。「炎」「水」「風」「光」「爆発」などのエフェクトについて動感を出すコツを解説しながら、「炎+煙」など、複数のエフェクトを組み合わせて見せる表現方法にも言及しており、アニメ作画の幅を拡げる実践的な内容です。
本記事では、Chapter4「光」より、「雷」が落ちる際に走る稲妻の作例を紹介します。
雷
最初の作例で雷の始まりを大きく描いたのは、ビームと同じようにエネルギーを溜めている様子と落ちる方向(下)をわかりやすく見せるためです。そのほうが画面として上から下へ落ちることが表現できます。リアルに考えれば細い光がそのまま下に落ちる感じになるんですが、1枚目の溜めを描くことでアニメ的な表現になります。
入りは大きくして、エネルギーが溜まっている感じを出します。
雷は大きくフォルムを変えたほうが良いです。途中、二股や三股などいくつか枝分かれしたものを描くのも効果的ですね。直線と曲がった線を交互に見せるイメージです。
雷の分かれた部分は、一瞬で全部を消してしまうと味気ないので、少しだけ残すことで余韻を表現できます。