ギュンター・ツォーン 写真展「THE SEA MY SOUL 海 – 私の魂」が京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスクにて開催

2025年1月28日(火)〜2025年2月2日(日)京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク

©ギュンター・ツォーン

京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室にて、ギュンター・ツォーン 写真展「THE SEA MY SOUL 海 – 私の魂」が開催される。会期は、2025年1月28日(火)〜2月2日(日)まで。
本展は、ギュンター・ツォーン氏が、日本、フランス、そして自身のルーツであるドイツの川、それぞれの海が持つ個性、生命の源としての海に魅了されてきた。そして、海がもたらす生命の循環、私たちと海の深いつながりを表現する。また、ギュンター・ツォーン氏は、鳥取の手漉き因州和紙に写真を印刷している。ギュンター・ツォーン氏の作風と立体的な効果を持ち、独特かつ滑らかな質感、温かみのある手触り、微妙なグレートーンを表現することができる因州和紙とがフィットしているという。職人による技術と献身、愛情をもって作られた自然で持続可能な素材とギュンター・ツォーン氏の作品の調和も感じることができるだろう。

©ギュンター・ツォーン
©ギュンター・ツォーン
©ギュンター・ツォーン
©ギュンター・ツォーン

<Artist’s Statement>
この展示会はすべての生命の母なる海へ捧げるオマージュです。
日本の海では特に石川県の能登半島と鳥取県の鳥取砂丘、そして直島をはじめとする美しい島々が点在する瀬戸内海、本州、四国、九州に囲まれた内海の景色を垣間見たものです。

そして世界の海では、大西洋に面するフランスのブルターニュとノルマンディー地方の海辺をご覧になる方のイメージとして取り上げました。それぞれの海と浜辺での生活は異なりますが、多くの共通点を有し、かつ際立った個性を持つ美しい海辺です。私はこれらの海辺をじっくり時間をかけ、丁寧に写真に捉えてきました。

ドイツ・ライン川沿いの内陸都市、ボン生まれの私にとって、海や海辺での出来事に深い関心を持つ最初のきっかけとなり、私の魂を見つけるために海まで導いてくれたのは、子ども時代の川との出会いに遡ります。

まだ10歳だった私は干潮になると海にくりだし、あっという間に引いていく潮の流れを眺め、カモメと一緒になって砂浜に顔を出す新鮮な牡蠣獲りに興じたものです。

以来、私は生涯を通じてブルターニュ地方に何度も戻ってくることになったのです。近ごろは写真家として今も手つかずの自然やドラマチックな海岸線、そして絶え間なく変化する海が待っていてくれる北ブルターニュのフィニステール県に足繁く通っています。カランテック、カンカル、ロスコフといった海辺に魅せられた私は潮の満ち引きのタイミングを見計らい、海に向かい、全ての生命の根源である海の本質を捉えるべく何百回となくシャッターを切っています。

さて、日本に移り住むようになった1991年からは、海はいつも私の傍に居てくれました。ここでの海は雄大な太平洋、東京都心の高層ビルからは輝く海の姿が眺められますし、その気になれば、時間をかけずに海岸まで行くことだって出来ました。

そして、海との決定的な出会い、2012年12月が訪れたのです。妻と共に瀬戸内海に浮かぶ直島への旅は、私の日本への、この国を取り巻く海に寄せる深い愛情を文字通り”心踊る歓喜”へ押し上げる決定的な記憶として刻まれたのです。瀬戸内海への知識は私なりに持っていました。「日本の真髄」と呼ばれるなど、その魅力は文学を通して知っていましたが、その旅はまさに、身を以て体験しなければ分からないものでした。私はそれ以来、その特別な魅力を自分のカメラで捉えたいと強く願い、直島や近隣の島々を毎年のように訪れています。

その後、私のプロジェクトは拡張し、日本海の神秘的な場所である能登半島や、鳥取の有名な砂丘へと幾度となく旅することになったのです。

鳥取への旅は、30年前に日本で初めて読んだ安部公房の有名な小説『砂の女』がきっかけでした。私を常に深く魅了してやまない海。海辺や高い崖の上に腰を下ろし、水平線の彼方を見つめるだけで私の心は解き放たれ、目の前の風景は刻々と変化してゆく… 海はまさに私の創造と幸福の源泉なのです。

しかしながら海は今、個人的な私の喜びというレベルをはるかに超え、環境を守り、未来に向かって海を保護することは私たち全員の共同責任であることを語りかけています。クリーンな海は貴重な食料源としてだけでなく、私たちの生存に不可欠な存在。海から蒸発した水は雨や雪となり、風に運ばれて陸地に向かい、陸に住むすべての生き物の渇きを癒し、潤します。そして再び、生命の終わりのない循環の中で海へと流れていきます。

私の写真集“By the Sea – A Symphony of Life”では、海の雰囲気、海岸の人々、そして見過ごされがちな小さな、時にはユーモラスなシーンを、クラシック音楽の交響曲の法則に則ったテンポやムードで写真たちを整理し、4つの楽章として構成しました。

なぜ和紙に印刷するのか。
数年にわたり、私は鳥取の手漉き因州和紙に写真を印刷しています。立体的な効果を持ち、独特でありながら滑らかな質感、温かみのある手触りがあり、微妙なグレートーンを表現することができるこの因州和紙は私の海景画にぴったりです。

職人が作る和紙は、技術と献身、そして素材と作品への多大な愛情をもって作られた、自然で持続可能な素材です。プリントは、作品全体の美しさを高めるために特別仕様のフローティングフレームに取り付けられています。

私は自分の写真を通じて、私たちの唯一の故郷である地球の将来にとって海が根本的に重要であるという認識をより強く広めることに貢献したいと思っています。
ギュンターツォーン

<写真展概要>

ギュンター・ツォーン 写真展「THE SEA MY SOUL 海 – 私の魂」

会期:2025年1月28日(火)〜2025年2月2日(日)
会場:京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室
住所:〒605-0038 京都市東⼭区堀池町374-2
時間:11:00〜18:00(会期中無休)
入場料:無料

<プロフィール>

ギュンター・ツォーン
1953年ドイツ、ボン生まれ。ケルンでメディア・イメージング・テクノロジー(フォト・エンジニア)の学士号を取得。ポラロイド社でのキャリアを通じ、ビジュアル・コミュニケーションにおける写真の重要性と影響力を深く認識する。ドイツ、オランダ、フランスでの生活を経て、1991年に第二の故郷として日本に居を移し、2000年からは東京・神楽坂に定住している。神楽坂をテーマにした初の写真集『Kagurazaka Mignardises – 神楽坂、その優美』を2019年に出版。2023年11月に新作写真集『By the Sea – A Symphony of Life』を刊行。
神楽坂、日本の海、フランスのブルターニュの海、東京の川、鳥取県の砂丘、そしてどこにでもある「わびさび」が、彼の写真作品において支配的な役割を果たしている。日本の伝統的な手漉き和紙である因州和紙を使った大判プリントを好む。彼の作品は、日本、ドイツ、フランスで数多くの写真展に出展されている。日本写真協会会員。国内外の写真家100名で構成される東京画会員。
https://gzornphoto.com/

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