キャラクターイラストにおけるヘアスタイルは、その人物の個性を印象付ける重要な要素です。描ける髪型のレパートリーが増えれば、キャラクター表現の幅が拡がります。
「キャラクターデザインのための髪作画」では、イラストレーターの夏目レモンさん、ネコサンさん、maruさん、葉月ナツさんによるヘアスタイルの作例を多数収録。アタリからラフ、線画、着色のほか、メインに解説したヘアスタイルのアレンジ例も3パターン用意しています。監修はヘアメイクアップアーティストのAKIさん。
本記事ではPart1「髪を描く基本」より、ヘアアレンジの構造について抜粋して紹介します。
ヘアアレンジを描こう
髪型はカットの種類のほかにも、結んだり、まとめたりしてアレンジすることができます。どのようなアレンジ方法や種類があるのか確認しましょう。
結ぶポジションや髪の質感を設定する
髪を結んだりまとめたりするときは、「高さ」と「位置」のポジションと、髪の表面の「質感」の3つがポイントになります。「一つ結び」の髪型でも、この3つが異なると違う仕上がりになります。
高さ
位置
質感
タイト
- 結び目に向けて引っ張られている、直線的な毛流れ。
- 後れ毛がない、もしくは少ない。
ルーズ
- 結び目につながる毛流れに余裕があり、曲線的。
- 後れ毛が多い。
POINT 後れ毛を意識しよう
髪を結んだりまとめたときに、耳の横やえり足あたりに残る短い髪のことを「後れ毛」という。ニュアンスをつけるために、わざと出すこともある。
1つ結び
長さのある髪をひとまとめにして結んだ髪型。センターポジションで結んだ「ポニーテール」や、サイドポジションで結ぶ「サイドテール」などがあります。結び目付近や、結んだ先の髪の張りやたるみなどに注目します。
センターポジションで結ぶ
ハイポジションのポニーテールは、スポーティーで活発な印象になる。
- 高い位置でタイトに結んでいるため、結び目に向かって髪が引っ張られ、直線的な毛流れになる。
- 結び目から遠い髪は重力に従って垂れるため、やわらかく曲線的な毛流れになる。
- バックの毛流れは結び目に向かって引く。結び目に近い髪は強く引っ張られているが、遠い部分はたゆむ。結び目の位置も意識して、毛の引っ張り具合の強弱をつけるとGOOD。
サイドポジションで結ぶ
ローポジションのサイドテールは、落ち着いた女性らしい印象になる。
- サイドテールは、タイトよりもルーズに結んだほうがフェミニンな印象になる。
- 結ぶ位置は耳の後ろ側が安定しやすい。
- 低い位置でルーズに結んでいるた、バックの毛流れがゆるく、大きなたるみが出る。
編み込み
髪の毛束をとって編んでいくヘアアレンジ方法。「みつ編み」のほか、「ロープ編み」や「フィッシュボーン」などさまざまな種類があります。ここでは、代表的な編み込み4種の編模様と構造を確認しましょう。
表みつ編み
一般的なみつ編みの方法。編み目が下に向かっていくのが特徴。
髪を3本の毛束に分ける。赤の毛束を青の毛束の上に重ねる。
緑の毛束を青と赤の毛束の一番上に重ねる。
青の毛束を、緑の毛束の上に重ねる。1~3のプロセスを繰り返す。
裏みつ編み
立体的で存在感があるみつ編み。編み目が上に向かっていくのが特徴。
髪を3本の毛束に分ける。緑の毛束を青の毛束の下にくぐらせる。
赤の毛束を緑の毛束の下にくぐらせ、緑の毛束を真ん中にはさむ。
青の毛束を赤と緑の毛束の間に入れ、1~3のプロセスを繰り返す。
シニヨン
髪をまとめてアップにしたヘアアレンジのことを「シニヨン「といいます。「お団子」などの髪型もその一種です。まとめた髪の毛量や、高さや位置によって形や雰囲気が大きく変わります。うなじを見せる髪型が多いです。
お団子スタイル
後頭部で結んだ髪(ポニーテールなど)を丸め、髪ゴムやピンなどでまとめた髪型。
- ポニーテールの結んだ先を巻きつけるようにしてまとめたお団子の毛流れに注目。ルーズなため少し乱れさせるとよい。
- 髪の表面を少し崩すと垢抜けて見える。
- 後れ毛も描いて、ルーズ風に。
- お団子ヘアのときは、崩れないようにしっかり髪を結ぶため、髪がたゆまいようにする。
お団子(2つ)スタイル
両サイドで2つに結んだ髪(ツインテールなど)を丸め、それぞれでまとめた髪型。
- 毛量を2つに分けるため、小ぶりなお団子になる。
- ツインテールの結んだ先を丸めるようにしてまとめたお団子なので、中心が少し開くような毛流れになる。