「美術解剖学」という学問をご存知でしょうか。医学の解剖学とは異なり、骨格と筋肉について研究し、構造や動きを知ることで美術制作に活かす学問です。小田隆氏は、著書の「美しい美術解剖図」の中で、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画や彫刻など、過去の名作をもとに美術解剖図を描き、絵画や造形などを美術作品を制作する人のために、肉体の構造を詳しく分析、解説しています。
本記事では、ダヴィデ像の美術解剖図をご紹介します。
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ダヴィデ像
世界で最も有名な彫刻のひとつだろう。大理石に刻まれたその姿は、正確な美術解剖学的理解に基づき制作されている。低い位置から見上げることを前提にしているため、頭部がやや大きく、上肢がやや長く作られている。長らく何人もの作家に制作を放棄され、放置された、一塊の大理石をここまでの作品に仕上げたミケランジェロの情熱と執念は驚嘆に値する。後年の創作と言われているが、大理石の塊を見たミケランジェロが発した言葉、「この中にダヴィデがいる」は、創作を語る上で、最も好きな言葉のひとつである。そして、この大理石像の中に、筋肉と骨格、血管などの様々な組織を見るのである。
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頭部と頸部
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