ポートレートは専門の写真家がいるほど確立されたジャンルです。カメラを持った人なら一度は撮ってみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
ただ、ポートレート撮影には「モデル」の存在が必須。モデルさんのスケジュールや撮影場所を決めるなど、撮影を始めるまでに多くの段取りが存在します。
そこをヒラリと乗り越えたのが、女性セルフポートレート写真家のRinatyさん。初の著書「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」は、自身をモデルとして撮影するセルフポートレートの撮り方、そして撮影の裏側を公開した一冊です。セルフポートレートは、自分がモデルで自分がフォトグラファー。誰もがチャレンジできるジャンルです。
コンセプトは「わたしだけの世界観で、そこに写ったわたしなら好きになれる」。
自分の新たな一面を発見でき、自分のことをもっと好きになれるセルフポートレート作品50点の中から、8点の作品を紹介。第6回は岩や砂のある風景の中でのセルフポートレートです。
美しい風景に溶け込むように撮る
義経岩の由来をヒントに絵作り
富山県の雨晴海岸という場所で、奥に写っている岩は義経岩という名前が付いています。源義経が奥州へ落ち延びる途中、にわか雨が晴れるのを待ったという伝説の残っている岩で、それが名前の由来となっています。この日は静かで美しい水面が広がっており、和のテイストを加えて、その場所の魅力を表現しました。
Point 1 人が入らないポイントを探す
ここは義経岩と電車を一緒に撮影することができることで、写真家には人気のロケーション。当然、現地には他にも撮影をしている方が多くいらっしゃったため、大きな岩の上に三脚をセットし、他の方が撤収作業を始めた頃に入水しました。
Point 2 風景に溶け込むような引き絵
美しい風景に溶け込むような雰囲気にしたかったので、カメラと人物との距離を遠ざけ、人物の主張をできるだけ抑えました。ライティングはソフトボックスを付けたストロボを1灯、人物の斜め前に置いています。
Point 3 赤い和傘をアクセントにしたスタイリング
海と一体化するようなイメージで撮影したかったため、シンプルかつ裾がふわりと広がるドレスを選びました。また歴史ある場所のため、赤の和傘をアクセントにして和のテイストを加えています。
【撮影の裏側エピソード】現場で撮影コンセプトを変更
当初は朝焼けを狙ってロケ地に向かっていましたが、この日は今にも雨が降りそうな曇り空。しかし、幸運なことに風がなく、美しく静かな水面が広がっていました。そこで急遽、朝焼けで光り輝く姿を撮るコンセプトから、美しい世界と和の調和というコンセプトに変更して撮影しました。