シネマティック・フォトの撮り方
第7回

カロリー高めのフードは低彩度でもおいしい

撮影した写真を他者に見せる目的は様々です。ただ記録として見せるならば「撮って出し」でも十分ですが、そこに撮影者が持った感情や、直接関係ないなんらかの意味合いを乗せたいと考えたとき、それはたとえ最終的に何も手を加えなかったとしても、表現を試みたことにほかなりません。

画面の色合いは写真や映像の印象を一変させます。例えば映画の画面をよく見てみると、シーンによっては現実の風景とはかけ離れた色合いで表現されていることに気づくでしょう。こうした映画的なカラー表現は、しばしば写真の調整でも用いられます。

シネマティック・フォトの撮り方」では、写真に映画的な演出を加えることを大前提に、撮影時に留意すべきポイントや編集方法、鑑賞する際の心構えも解説。著者の上田晃司さんは写真と映像の両方で作品の撮影を続けており、静止画の画作り解説を主たるテーマに据えた本書の製作においても、映像製作の考え方を採用しています。

本記事ではChapter2「シネマティック・フォトの撮り方」より、古い映画に出てくるバーガーのイメージに仕上げた作例を紹介します。

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シネマティック・フォトの撮り方

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バーガーは低彩度でワイルドに仕上げる

絞り:F1.8 シャッター速度: 1/40 秒 ISO:64 WB:オート カメラ: NIKON Z7 レンズ: NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

CINEMATIC IMAGE
モンテネグロのバーガー屋さんで完璧な形のバーガーに出会った。木製のワイルドなトレーとの相性も良くフォトジェニックだ。このバーガーを古い映画に出てきそうなイメージの色感にして仕上げた。

COMPOSITION:バーガーを主役にしてボケの空間を活かす
バーガーの形があまりにも完璧だったので、シンプルにバーガーが主役として活きる構図にした。基本は2分割構図。画面の右半分にバーガーをいっぱいに配置し、左半分は大きくぼかして映画のポスターのようなイメージに。余計なものを入れず空間を活かすことで、バーガーの存在感が強調される構図になった。

  • レンズは35mmを使用し、F値は絞り開放のF1.8でバーガーの一部だけにピントを合わせ、立体的に撮影している。
  • 木製のプレートは画面に対して対角線になるようにし、奥行感を強調している。

SITUATION:カロリーの高い料理は彩度を低めにしてもいい
一般的には、料理写真は彩度を少し高めにした方が美味しそうに見える。だが、筆者は「茶色いもの(カロリー高めの料理)」に限っては、低彩度気味に仕上げることが多い。バーガーやカレー、唐揚げなどは彩度を下げることで高カロリーなギトギト感が緩和され、全体的にはワイルドな雰囲気になる。美味しく見える範囲で、わずかに低彩度にしてみよう。この写真はRAW現像とLUTで低彩度に仕上げているが、カメラの設定で行う場合は仕上がり設定の詳細で彩度の項目を下げればいい。

CINEMATIC RETOUCH:低彩度・暖色にしてからLUTを適用する
筆者オリジナルのLUT[Burger_classic.CUBE]を使い仕上げている。RAW現像時にやや低彩度にして暖色を強めておき、さらにカラーバランス、色相・彩度、トーンカーブで色を微調整をしたLUTを適用した。PhotoshopのデフォルトのLUT[Kodak 5218 Kodak 2395(by Adobe).cube]でも似た方向性には持って行けるので試して欲しい。

玄光社オンラインストアにおいて、著者の上田晃司さんが作成したCUBE形式のLUTファイルを販売中です。本連載を参考にシネマティック・フォトを試してみたいとお考えでしたら、ぜひ購入をご検討下さい。


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著者プロフィール

上田晃司

(うえだ・こうじ)
写真家。広島県呉市出身。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強をしながらテレビ番組、CM 、ショートフィルムなどを制作。現在は雑誌、広告を中心に活動し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影する。ニコンカレッジ、LUMIXフォ卜スクール、Profotoオフィシャルトレーナーなど、年間100回以上の写真教室や講演を行う人気講師でもある。
http://www.koji-ueda.com/

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