永沢まことの街歩きスケッチ入門
第10回

いつもの散歩コース、吉祥寺公園通りを描く

『永沢まことの街歩きスケッチ入門』は、絵描き・イラストレーターの永沢まことさんが、日々の暮らしを営んでいる街のなかを歩きながら、感じたこと、気になったものや人や風景を気軽にスケッチする楽しさを紹介した一冊です。

第10回は、永沢さんのいつもの散歩コース吉祥寺を描き、町並みや人物のスケッチから色塗り、仕上げまで、そのプロセスを一気にご紹介します。

 

永沢まことの週末は街スケッチ
永沢まことの街歩きスケッチ入門

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いつもの散歩コース「吉祥寺の公園通り」

にぎやかな吉祥寺駅周辺を離れて公園通りを200mほど歩くと、こんな感じの街並みになります。つい10年くらい前までは、商店や食べ物屋にもけっこう活気がありました。今ここを行き交うのは、駅の方へ向かう人か、用事を済ませて家に帰る人が多いように見えます。

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まずはラフスケッチから

【1】家並みをスケッチ

今日は、特に変わったところのない、こんなフツーの街を描いてみたくなりました。さて、どうなるでしょうか。

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【2】人物をスケッチ

今度は向かい側の歩道に移動。目の前を通るクルマや自転車、人物を眺めたり、スケッチしてみたりします。

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F6水彩紙で線描を始める

(F6=40.9cm × 31.8cm)

【3】ここを描こう

紙(ウォーターフォード)を抱えてペン(筆サイン極細)を手にしたら、ちょうど信号待ちで立ち止まった親子がいました。お母さんからまずスケッチ。

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【4】人物をひとりずつ

信号で立ち止まる人、駅へ向かって早足で歩く女性を次々とスケッチしていきます。

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ペンを使い分けるといい

【5】駅の方から

買い物帰りの女性が自転車でやって来ました。自転車は難しいので、鉛筆で下描きします。

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【6】建物はリブで

ペンを新品のリブに替えて家並みを描きます。リブは建物を温かみのある直線で描けます。

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太さの違うペンを使い分ければ、タッチにメリハリが出ます。

 

細かいところを描けば存在感が出る

【7】細部は近づいて

おそば屋さんの店先がよく分からないので近づいてみます。細部を描くのを得意とする筆携極細の出番です。

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【8】線描、出来ました

4時間半ぐらいかかりましたが、線描が完成。現場作業は終わりです。

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色塗りは朝がおすすめ

色の仕上がりは、夜より朝塗る方が断然キレイ。

【9】はじめは薄く、薄く

翌朝、窓から差す光の下で色塗りスタート。最初はシュミンケ ホラダムのオレンジを薄く溶いて、おそば屋さんの壁を塗ります。

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【10】さすがコリンスキーの筆

こういう細かいところを塗るのは難しい。そんな時に助けてくれるのがラファエル製のコリンスキー極細0 号。いい仕事をしてくれます。

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完成!

こんな風にして「吉祥寺の公園通り」が出来上がりました。

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吉祥寺の公園通り 31.8cm×40.9cm 2015

街を描く場合は、この絵のように人物から描き始めることが多くなります。そのため、水彩紙に描く前に、じっくり人物を観察したり、ラフスケッチを描いたりしています。

 

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永沢まことの週末は街スケッチ-cover
永沢まことの街歩きスケッチ入門

 

著者プロフィール

永沢まこと

永沢まことプロフィール

Nagasawa Makoto

イラストレーター。絵描き。1936年東京生まれ。学習院大学政治経済学部卒。アニメーターとして活動の後、フリーランスとなる。
78年渡米。ニューヨークに8年間在住する中で、線描による独自のスケッチ・スタイルを確立。帰国後は世界各地を旅しつつ、創作と著作活動を行っている。朝日カルチャーセンター、池袋コミュニティ・カレッジ講師。

著書:『ノンフィクション・ニューヨーク』『東京人間図鑑』『イタリア・トスカーナの優雅な食卓』『永沢まことのとっておきスケッチ上達術』(以上草思社)、『絵を描きたいあなたへ』『旅でスケッチしませんか』(以上講談社)他、多数。

永沢まこと・オフィシャルブログ
http://makoart.exblog.jp/

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