モノクロイラストテクニック
第3回

「硬さ」を表現するための描き込みとコントラストのつけ方

イラストレーションはもちろん、写真や映像など視覚に訴えかける媒体においては、登場人物の感情や作品世界の表現に、しばしば「モノクローム」が採用されます。

モノクロの画面は一般的に、カラー画面よりも色彩の情報が少ない分、主題の「明暗」や「形」に意識が向きやすいと言われています。モノクロのイラストレーション、とりわけキャラクターの表現においては、線の使い分けやラインの引き方、質感の表現方法、影の付け方、塗り方を工夫することによって、モノクロならではの独特な雰囲気を演出することも可能であり、それはモノクロイラストが持つ魅力の一つでもあります。

モノクロイラストテクニック」は、モノクロでキャラクターを作画する際のテクニックを紹介する指南書です。イラストレーター・jacoさんによる詳細なテクニック解説をはじめ、カラーイラストにはない表現手法、イラストのクオリティチェックを行うために見るべきポイントなども紹介するほか、jacoさんが得意とする「角娘」(角の生えた少女)のモノクロイラスト集としても楽しめる一冊にまとまっています。

本記事では、第2章「描き込みによる質感の出し方」より、「角」や「金属」といった「硬いもの」をモノクロで表現するためのテクニックについての記述を抜粋して紹介します。

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硬い角などの質感の表現

角などの硬いものを作画する時、どうすれば質感が表現できるのでしょう。工業製品にはない、歪みを味とした硬さを表現するコツを解説します。

輪郭はいびつな線に。影は筋などの描写密度で。

  • 全体的にフラットで、明暗にはあまり強弱をつけなくても表現できます。
  • 明るい部分以外の輪郭線はしっかり描き、硬さを表現します。
  • 描き込み線は少しガタガタと、あえていびつにしています。
  • 影のタッチを入れずに、模様や筋の描写密度で陰影を表現しています。

硬質でゴツゴツした質感にするタッチの入れ方

ベースとなる立方体です。

輪郭をガタついた線にします。

ガタつかせた細めの線を平行に2本引いて、それをエッジ部分に使うと一気に質感が出ます。さらに要所要所に欠けた箇所を追加して、ゴツゴツとした質感を作ります。

線の量と密度で陰影が表現できます。影になる部分の描き込み量を増やし、密度を高めることで影の表現ができます。

角コレクション

大きさも形状、質感の種類も異なりますが、それぞれ硬質な角を表現しています。

金属の質感の表現

金属の工業製品は、近未来のガジェットとして登場することも多いアイテムです。ここでは光沢のある金属や、工業製品特有の描き方のコツを紹介します。

  • 輪郭線はあまり強弱をつけず、なるべく均一に。
  • 輪郭線と描き込む線は太さを変えると精密な雰囲気が出ます。
  • 光と影をくっきり描き分けます。

金属製品を観察してみよう

光沢のある金属は、コントラストを高めに。

  • 強いハイライトが入っています。
  • 明るい部分、暗い部分が極端に配置されています。
  • 周りの物体を反射した姿が縦筋となり写し出されています。

  • コントラストは高めにして、明暗をくっきりとさせてください。
  • 細かく全てにタッチを入れるのではなく、手を入れる場所は限定的にします。

  • 工業製品らしく、輪郭線は均一に描いています。
  • 可動部やネジも描き込み、機械らしくしています。
  • コントラストを高くして金属の質感を表現しました。

  • 細部まで丁寧に描くことで、工業製品らしい硬質感が出ます。
  • 存在しないガジェットでも、描き込むことで実在するようなリアリティが生まれます。

モノクロイラストテクニック

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