イラストにおいて人物の動きを表現するには、まず人体構造の理解が必要です。「動きのあるポーズの描き方」シリーズでは、キャラクターに設定された年齢や体型ごとの特徴、表情、ポーズを描く上でのポイントを詳細に解説。今回紹介する「セクシーキャラクター編」では、主に女性キャラクターの「色気」を表現するための基本を解説しています。
著者のkyachiさんは本書の中で、セクシーな絵とは「生々しさを感じさせる絵」であると説明しており、胸やお尻などのわかりやすい部分だけでなく、関節や筋肉がつくる出っ張りや凹み、服の食い込み、表情など様々な要素を組み合わせた結果として「セクシー」な表現が生まれるといいます。
本記事ではチャプター1「コントラポストと体の基本構造」より「セクシーさ」を表現するにあたってポイントとなる要素についての解説を抜粋します。
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セクシーさを構成するもの
セクシーな絵を描く前に、「セクシーとは何か」を考えてみましょう。
「セクシー」という言葉は、性的な魅力を感じさせる人に対してよく使われます。セクシーな女性を描く際は、体のラインや仕草、服装、表情で女性らしさを出すことがポイントになります。グラビアのポーズのようなはっきりとしたセックスアピールだけでなく、さりげない体のひねりや目線の動きなども女性の魅力を引き出すものです。
体のライン・仕草
女性の体のラインは、ポーズによって凹凸ができます。ウエストのくびれ、乳房やお尻のふくらみなど、凸と凹のギャップを強調する仕草を描いていきましょう。
- 胸を寄せることで鎖骨がくっきりと浮き出て凹凸ができる
- ウエストのくびれとお尻のふくらみが作るS字ラインは、女性らしさを表現する重要ポイント
- 寄せられた胸は谷間ができやすくなる。大きく露出するのではなく、チラリと見えるようにするのもコツ
クロスの法則
右手を左側に持ってきたり、足を組んだりと、手足を交差させることで女性の体の美しさがより際立つようになります。これを「クロスの法則」といい、グラビアなどのポージングでよく使われます。
ひねり
体をひねったポーズは、肩のラインと腰のラインの傾きが大きくなるので、背骨の曲線が急になります。そのため、ウエストのくびれが目立ちセクシーに見えます。胴がどちらを向いているか意識して描きましょう。
服装
セクシーな服装といえば露出の多いものを想像しがちですが、それだけではありません。きっちりとしたリクルートスーツを着崩すなど、ギャップやチラリズムを取り入れることで表現の幅が広がります。
リクルートスーツの着崩し
ひっつめ髪に第1ボタンまでとめたシャツというリクルートスーツスタイル。セクシーさはあまり感じられない。
帰宅後、髪をほどいてジャケットや靴を脱ぎ、ボタンを開けたところ。ギャップがセクシーさを生み出している。
- 腕まくりすることで手首など女性らしいパーツが見えるようになる
- 足を広げることでタイトスカートが横に張った状態になり、シワができる
- ストッキングの足もセクシーさを感じさせるマニアックなポイント
表情のギャップ
表情によってもセクシーさをアピールすることができます。ここで重要なのは、ふつうの顔から上目遣いになったり、急に恥ずかしがったりといった表情の移り変わり。目やまゆ毛の角度も重要です。
<玄光社の本>