風景写真の便利帳
第10回

組写真へのトライで自分の弱点が見つかる

デジタルカメラやスマートフォンの性能が上がり、シャッターを押せば誰でもカンタンに美しい写真が撮れるようになった。しかし、「ワンランク上の写真を撮りたい、もっとレベルアップしたい」という人も多いだろう。萩原ブラザーズこと、風景写真家の萩原史郎氏と萩原俊哉氏は、共著の「風景写真の便利帳」で自然風景撮影にかかわるさまざまなノウハウを紹介している。

本記事では「メンテナンス&自主練習編」の「自主的に行う練習」より、複数の写真を組写真として作品に仕上げる方法を紹介する。

>この連載の他の記事はこちら
>前回の記事はこちら

風景写真の便利帳

 


CHECK POINT!!

  • 組写真は作家性や総合力の勝負
  • 組写真はさまざまな弱点発見の場
  • 弱点を知ればレベルアップができる

組写真とは、2点以上、5〜6点程度までの範囲(厳密な範囲はない)で、あるテーマに基づいて写真をまとめるもの。

単写真は、あくまでも1点の力で競うものだが、組写真は1点の力云々ではなく、全体を通しての主張や物語性、内容性を問う。だから1点だけならまぐれでも撮れることはあるが、組写真となると、作家性や総合力が必要になる。実力の世界なのだ。だからあえて組写真に挑戦して欲しい。自分が普段から撮影している被写体でいいし、その日一日に撮った写真から組んでもいい。ストックの中から四季立てで組むことは、風景写真のジャンルではベーシックな考え方なので、そこからスタートしてもいい。

では、組写真にトライすることで何が得られるのだろう。もしかするとテーマを持っていないことに気づくかもしれない。写真を見直すことで、自分のレベルに気づくこともあるだろう。四季の中で明らかに足りない季節を発見できることもある。これらを把握して補強していく撮影を行えば、確実にレベルアップにつながるはずだ。

この4点は写真展に出展したときのもので、4点一組の組写真としてまとめてある。木の佇まいをテーマとして、春夏秋冬それぞれの季節から一枚を選び一組としている。

展示の方法は、上段左に春、右に夏。下段左に秋、右に冬を配置し、白背景と黒背景を対角方向で対比させる構成とした。

[撮影データ]APS-Cサイズカメラ 10-24mmズームレンズ(10mm/35mm換算15mm)絞り優先AE(F4・1/1000秒)+2.0EV補正 ISO800 WB:太陽光
[撮影データ]APS-Cサイズカメラ 10-24mmズームレンズ(11mm/35mm換算17mm)絞り優先AE(F5.6・1/8秒)-0.7EV補正 ISO800 WB:太陽光
[撮影データ]APS-Cサイズカメラ 50-140mmズームレンズ(60mm/35mm換算90mm)絞り優先AE(F5.6・1.3秒)-1.0EV補正 ISO200 WB:太陽光
[撮影データ]APS-Cサイズカメラ 55-200mmズームレンズ(100 mm/35 mm換算150mm)絞り優先AE(F5.6・1/3200秒)+1.0EV補正 ISO800 WB:太陽光

 


<玄光社の本>
クリックするとAmazonサイトに飛びます

風景写真の便利帳

著者プロフィール

萩原 史郎&萩原 俊哉

萩原史郎(はぎはら・しろう)

1959年山梨県甲府市生まれ。日本大学卒業後、株式会社新日本企画で「季刊(*現在は隔月刊) 風景写真」の創刊に携わり、編集長・発行人を経験。退社後はフリーの風景写真家に転向。現在自然風景を中心に撮影、執筆活動中。2015年に初個展「色X情」を開催。東京を皮切りに、仙台、福岡、名古屋へと巡回。

カメラグランプリ選考委員
オリンパスデジタルカレッジ講師・山コミュ管理人
日本風景写真家協会会員(JSPA)

 

萩原俊哉(はぎはら・としや)

1964年山梨県甲府市生まれ。 広告代理店に入社、食品関連の広告制作に配属、カタログ制作、イベント企画等に携わる。 退社後、フリーのカメラマンに転向。浅間山北麓の広大な風景に魅せられて、2007年に拠点を移し、2008年に本格的に嬬恋村に移住。 現在自然風景を中心に撮影、写真雑誌等に執筆。2014年11月にはBS11テレビ番組「すてきな写真旅2」に出演。2020年4月逝去。

書籍(玄光社):
風景写真の便利帳
自然風景撮影 基本からわかる光・形・色の活かし方
自然風景撮影 上達の鉄則60
RAWから仕上げる風景写真テクニック
風景&ネイチャー構図決定へのアプローチ法

関連記事