トミーのコンセプトアート教室 マンガと添削で楽しく学べる!
第3回

紙とペンさえあれば始められるコンセプトアート。大事なのは「感動上手」になること

人の頭の中にある概念や構想、いわゆる「コンセプト」を他者に伝えようとするとき、絵の力は強力に作用します。遠い将来や、開発前の製品など、具体的な像が定まらない目標に向かうことはとかく困難になりがちですが、「目的を達成した後の世界」を絵として具体化し、他者と同じイメージを共有することで、一つの完成形や目標に向かって、迷いなく進むことができるようになるのです。

トミーのコンセプトアート教室 マンガと添削で楽しく学べる!」では、コンセプトアーティストの富安健一郎さんが、コンセプトアートの考え方と始め方、上手なコンセプトアートの描き方を、佐倉おりこさんのマンガとともに詳しく、かつ、わかりやすく解説しています。

後半では、事前に公募したコンセプトアートの添削や、富安さん自身によるコンセプトアートの制作手順も紹介。初めてコンセプトアートを描こうと考えている人にも実用性の高い内容となっています。

本記事では、PART1「コンセプトアートを知ろう」より、コンセプトアートの始め方について解説します。

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コンセプトアートの始め方

Q. コンセプトアートを始めたいと思ったら、まず何を用意すればいいのでしょう?

極論、脳があれば始められますね(笑)でもできれば、意見やアイデアを聞いてくれる人がいるといいですね。リアルじゃなくてもインターネット上とかでももちろん大丈夫です。

その次が紙と鉛筆。その他アナログの道具なんですが、正直何でもいいですよね。描きやすいものを使ってください。iPadのようなタブレット端末も便利なアイテムですね。僕も仕事じゃなければタブレット端末で絵を描くことも多いです。

とはいえ、そもそもこれといってルールはないんですよ。自由でいいんです。僕なんかよくやるのは、紙に珈琲をこぼしたりとかね。これをすると紙が羊皮紙みたいな、古ぼけた感じになるんですよ。他にも燃やしてみたりくしゃくしゃにしてみたりするのもいいですね。

トミーのペンケースの中身。ぺんてるのサインペンがお気に入りだそう。

Q. コンセプトアートの身近な使い方はありますか?

夢を絵で描く、というのがコンセプトアートの一番身近な使い方ですね。

たとえば3ヶ月後にはスイスで絵を描いていたいな、なんて想像をしてみたとして、その姿をちゃんと思い描いておくことができれば、不思議と実際に叶う確率って高くなっていくんですよね。

たぶん自分の中で具体化されて行動が明確になっていくからだと思います。その手助けをコンセプトアートはしてくれるはずです。

今後の社会って、雰囲気とか感情とか憧れがすごく大事になっていくんじゃないでしょうか。自分の夢を描くということだけに限らず、学校の文化祭みたいな行事でもいいですし、身近な商品開発でもいいでしょう。そういうところでコンセプトアートを活用することができるんじゃないかなと思いますね。

マンガ:佐倉おりこ

Q. 絵を描きたいけどそもそもイメージが湧かないときはどうすればいいでしょうか?

絵を描きたい、けど何を描けばいいのかわからない、という方は確かにいらっしゃるでしょう。

ただその場合、そもそもどうして絵を描こうと思ったのかな?というところを各々考えていただきたいです。そのうえで具体的にどうやって描きたいものを見つけるかという話ですが、僕は心を動かすことがとっても大事だと思っています。

日常の中で作品に触れて感動したり、心を動かしたりすると、自然と描きたいものが湧き出てくると思いますよ。

これはボク個人の話ですけど、普段から何でも感動しようと思っているんですよね。先日台風の後の夕日に感動したのですが、そんな何気ない一瞬を大事にしています。ちょっとした感動をスルーせず、憶えておくと、いつか夕日を描く時にその光景が思い出されたり、ある時ふと夕日の絵がひらめいたりします。

それと感動した時に、なぜ感動したのか、どのくらい感動したのか、ということを考えて分析をするのもいいですね。僕は職業柄なのか性格なのか自然とやっているのですが、分析することで記憶にも残りますし、発想の引き出しになることが多いです。

触れるものは何でもいいですよ。映画でもいいし、食事でもいいし、会話でもいいし、SNSでもいいし。個人的には、実体験のほうがコスパはいいと思います。

感動した時に「これは感動した」とか、楽しい時に「楽しい!」とか。ひと言声に出すのもオススメです。一緒にいる人も楽しくなりますし、意識的に覚えておくことができます。

とにかく気持ちを動かすことが発想を生むのに最も効果的なので、泣いて笑って怒って楽しんで、なんてことをいっぱいしてください。ぜひとも、感動上手になってほしいものです。

トミーの作業環境

iMac Pro
Photoshopは意外とメモリを消費するので、描いていてストレスがないことを第一に考えて選択。以前はWindowsを使っていたが、最近は3DもMacで全て完結できる。

Intuos Pro
長年使っていて慣れている。液タブより板タブがしっくりくる。

DIYの机
ベストな高さ大きさにカスタマイズしている。ホームセンターで3千円くらい。

HermanMiller エンボディチェア
座り仕事の天敵は腰痛。椅子だけは絶対に良いものを使うべき。

マウス
高性能ゲーミングマウス。とにかく長時間使っても疲れないことが大事。


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