かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった近年においても、カメラ好き、写真好きの人々から「オールドレンズ」と呼ばれ親しまれています。オールドレンズは「マウントアダプター」と呼ばれるパーツを用いることで現行のカメラに装着することができます。これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つなのです。
「オールドレンズ・ライフ 2019-2020」に掲載している特集の一つ、「最新ミラーレスとオールドレンズ」では、35mmフルサイズおよび中判サイズのイメージセンサーを搭載した現行ミラーレスカメラで、オールドレンズを試用しています。オールドレンズのベースボディとして捉えた現行ミラーレスの実力を探る企画です。
本記事では、ニコンZ 6でオールドレンズを使う際に押さえておきたい設定と、作例についての記述を抜粋して紹介します。
α7Ⅲと肩を並べる本命ベースボディ
ニコンは2011年、1インチセンサーを搭載したミラーレス機、ニコン1シリーズを発表した。1インチセンサーはシネレンズとイメージサークル面で相性が良く、Cマウントレンズのベースボディとして期待がかかる。しかし、同機はサードパーティー製マウントアダプターだと内蔵露出計が動作せず、オールドレンズファンの期待には応えてくれなかった。そうした過去があるだけに、ニコンZシリーズを敬遠するオールドレンズファンの気持ちはわかる。しかし、それは杞憂だと断言しよう。
フルサイズ機のニコンZシリーズは、オールドレンズと実に相性が良い。α7 IIIに負けず劣らずオールドレンズに適したボディだ。レンジファインダー機など、ショートフランジの広角オールドレンズが周辺画質を気にせず使える。マゼンタかぶりも周辺像の流れも最小限だ。ボディ内手ブレ補正、ISOオート低速限界も適切に設定でき、拡大表示の操作性もひと工夫こらせば快適になる。マイナスポイントをあえて挙げるならば、シャッターボタン半押しで拡大表示から通常表示に復帰しないぐらいだろう。
加えて、静粛で指先に心地良いシャッターフィーリングや成熟した操作体系など、カメラとしての作りの良さにも注目したい。
オールドレンズを使う際は、「レンズ情報手動設定」にレンズの焦点距離と開放絞り値をセットする。これが手ブレ補正とISOオートの低速限界に反映される。ただし、EXIFにこの値は記録されない。
「手ブレ補正」の設定画面を開くと、「焦点距離」に「レンズ情報手動設定」で設定した値が反映されている。この焦点距離の値を元に手ブレ補正の動作を最適化する。
ISOオートの「低速限界設定」を「AUTO」にしておけば、「レンズ情報手動設定」の情報を元に最適化してくれる。手動で任意のシャッター速度を設定することも可能だ。
Minolta MC Rokkor-X PG 58mmF1.2
ミノルタMDマウントのフランジバックは43.5ミリと短く、デジタル一眼レフでは再利用が難しい。MDマウントのロッコールで撮れるのはミラーレス機の特権だ。フルサイズ機なら周辺部分のおいしい描写も存分に満喫できる。
Nikon Nikkor-P Auto 10.5cmF2.5
ニコンFマウントの定番中望遠、ニッコール-Pオート10.5センチF2.5を改めてニコン Z 6で使ってみた。速やかに拡大表示できるので、遠くの被写体に厳密なピント合わせが可能だ。ボディ内手ブレ補正が大きな安心感になる。