イラストレーションにおいて、男性キャラクターの美しさ、かっこよさ、セクシーさを表現するポイントは、骨格や筋肉の付き方、仕草、ファッションなど様々な点で女性と異なります。物語においては、線の細い美少年から筋肉質な格闘家、年齢を重ねた中高年男性など、人生のステージや立場によって、採用されやすい男性キャラクターの類型がいくつかあります。
「色気のある男の描き方」では、「男性の色気」という抽象的で感覚的な概念をイラストとして表現するためのテクニックを紹介。男性の体の構造と女性との主な違い、男性らしい体つきのバランス、顔と体の各パーツや動きのあるポーズの描き方をはじめ、「美形男子」「ハードボイルド」「格闘系」「ナイスミドル」といった類型ごとの描き分け方までカバーしています。
本記事では、CHAPTER4「雰囲気と立体感を付ける方法絵」より、光源を意識した肉体や表情の表現方法についての記述を抜粋して紹介します。
肉体の凹凸など、効果的に立体感を出す方法が光と影です。また、一定の光源からの光によって描かれたイラストには、光や影のでき方に規則性が生まれ、イラストに説得力が増します。
光源を意識して絵の魅力を高めよう
光と影の効果
光源には、自然光(太陽光・月光)と、ろうそくや蛍光灯などの人工光があり、それによって光が生まれ、影ができます。照らす光源の位置によって、被写体の明るい部分と暗い部分が変化、同じ人物・物体でも見た目の印象が大きく変わる場合もあります。つまり、光源をあやつることで、効果的な絵を作り出すことも可能なのです。
前方斜め上
前方斜め上から光を当てると、大胸筋部分の張りと膨らみが際立ち、エネルギーみなぎる肉体を表現できます。肉体的な強さを強調したい場合などに使えます。
膨らみがあるところを白く、凹んだ部分に影を付けていきます。
前方下
緊迫感あるシーンを表現する場合など、下方からの光源を利用します。日常的なシーンでは、ほとんど使われることのない下方からの光源は、見る人にとって違和感や緊張感を覚えさせるためです。
下からの光で、普段とは違った印象になります。
上方
上からの光源は、日中の太陽光で見慣れているため違和感なく受け入れられます。
影の濃さで凹みの深さを表します。
効果的な影の付け方
影は立体感を出すだけでなく、質感や感情表現をサポートする役割があります。影の濃度や入れ方を工夫することで印象深い絵に仕上がります。
起伏の表現
背中の筋肉など、微妙な凹凸を表現する場合は影に濃度を付けることで膨らみの差を見せることができます。
線を使わず影の濃淡で筋肉の起伏を表しています。
イメージの演出
美形男子など、そのさわやかさを演出するのが淡い影。明るい光と淡い影で、さわやかでやさしい印象に仕上げています。
影を濃くすると暗いイメージになるため、淡い影でやさしい印象に。
感情の強調
強い怒りを表す場合、顔に力が入り、眉間にシワができ、口元は歪みますが、そのシワや歪みに影を加えることで怒りが強調されます。
眉間のシワを強調するために濃い影を足しています。
光源を活かした作品
横からの光源
横からの強い光で、光と影のコントラストを強めミステリアスな雰囲気を漂わせています。
上からの光源
牧歌的なシーンでは自然な方向からの光が似合います。
スポット光
洞窟に差し込む光。光に向かう構図にして希望をイメージさせています。