
アーティスト・大河紀の7年間にわたる創作活動をまとめた初の作品集『穴 The Hole 大河紀作品集』が、2026年10月21日(水)、玄光社より発売される。
本書の発売にあわせて制作が進められているのが、大河氏による一点もののドローイングを使用した特装版だ。
10月某日、長雨がようやく落ち着き、秋らしい晴れ間が広がった日。PICTURES編集部は、その制作風景を撮影するため、東京・両国にある大河氏のアトリエを訪ねた。
色鮮やかな作品に囲まれたアトリエの様子とともに、特装版が生まれるまでの制作過程をお届けする。
東京・両国のアトリエを訪問

アトリエがあるのは、東京・両国駅から徒歩5分ほどの場所。駅周辺の喧騒から少し離れた、落ち着いた街並みの一角にある。
目印は、色鮮やかなアートワークが描かれた看板。アトリエでは、大河氏のアートワークをプリントしたTシャツなどのオリジナルグッズも販売されている。

室内には、大小さまざまな作品や画材が所狭しと並ぶ。壁に立てかけられたキャンバス、鮮やかな色彩の絵画、制作の痕跡が残る道具の数々。アトリエそのものが、大河氏の創作世界を映し出しているようだ。
大河氏の作品の魅力のひとつは、無機質と有機質、秩序と混沌といった相反する要素が、ひとつの画面の中で共存していること。
さまざまな色彩やモチーフが幾重にも重なり、独特の世界観を生み出している。その表現がどのように形づくられていくのか。今回の取材では、制作の一端を間近で見ることができた。
巨大なキャンバスに描く、特装版のためのドローイング

今回制作されているのは、作品集の特装版に使用するためのドローイング。
床いっぱいに広げられた巨大なキャンバス地に、アクリル絵の具で直接描いていく。取材時点での完成度は、まだ3割ほどだという。
制作に使われるのは、筆や刷毛だけではない。ラップフィルムや指など、さまざまな道具や手法を駆使しながら、次々と色や形を重ねていく。
勢いよく引かれる線、自由に交差する曲線、思いがけない場所に生まれる色彩。ときおり、文章に句点を打つかのように丸い形を描き加えていく姿が印象的だった。

制作の合間には、同行した担当編集者とイベントについて打ち合わせをしたり、完成した作品集の見本誌を確認したりする場面も。
そんなやり取りをはさみながらも、大河氏の手は休むことなく動き続ける。目の前のキャンバスに向き合い、次々と新しい色や線を加えていく。

制作中の感覚について、大河氏はこう語る。
「頭の中で試行錯誤しながら、手は止めない。閃きと考えを並行しながら描いていく」
あらかじめ完成形を決め込むのではなく、手を動かしながら考え、浮かんだイメージを次々と画面に重ねていく。
そうした制作スタイルを目の当たりにすると、複雑なモチーフや多彩な色が共存する、大河氏ならではの作品世界にも納得がいく。
そして、制作を経て完成したドローイングがこちら。

大胆な筆致と繊細な線、多彩な色が複雑に重なり合う、迫力ある一枚に仕上がった。
そして、この巨大なキャンバスを作品集に巻くことのできる幅広帯サイズに裁断。それぞれ異なる絵柄を持つ、一点ものの特装版として仕上げていく。
世界にひとつだけの『穴 The Hole 大河紀作品集』特装版
完成した特装版がこちら。

アクリル絵の具で描かれたキャンバス地ならではの質感と、鮮やかな色彩が目を引く仕上がりだ。
もとはひとつの大きな作品でも、切り出す位置によって色彩やモチーフの組み合わせは大きく変化する。それぞれが異なる表情を持ち、同じ絵柄は二つとない。


表と裏でもまったく異なる表情を楽しめるのも、この特装版ならではの魅力。作品集を「読む」だけでなく、大河氏の肉筆作品を「所有する」喜びも味わえる特別な一冊となっている。
特装版は、10月25日(日)まで下北沢のBONUS TRACK Gallery 2で開催中の個展で販売されるほか、玄光社の公式ECサイト「GENKOSHA STORE」でも販売される。
GENKOSHA STOREでの販売は、No.1~No.10の全10点限定。各番号につき1点のみの販売となる。
7年間の創作の軌跡を収めた初の作品集と、そのために制作された一点もののアート作品。
大河紀の世界を、ぜひお手元でお楽しみいただきたい。
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