ポートレート・ライティングのアイデア帳
第5回

オフカメラストロボ術 被写体と屋外の明るさを近づけて白飛びを減らす

その場の地明かりや照明設備といった光の状態は、写真を撮るにあたってきわめて重要な要素です。人物を写すポートレート写真でもそれは例外でなく、カメラマンは時として被写体や表現意図に応じた光を「作る」必要に迫られます。では、撮影意図に沿って適切な光を作るには、どうしたらいいのでしょうか。

ポートレート・ライティングのアイデア帳」では、複数のフォトグラファーが様々なシチュエーションでのライティングについて解説。モノブロックストロボ、自然光、夕景、夜景、複数台のストロボなど、機材やシーンに応じた光の作り方を紹介しています。

本記事では「背景をきれいに見せるオフカメラストロボ術」の章より、人物と背景の明るさを近づけて、窓の外の景色を白飛びさせずに写す方法をお伝えします。関一也さんによる解説です。

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ポートレート・ライティングのアイデア帳

室内の窓をもうひとつ増やすイメージでライティング

大きな面光源で自然光のようなナチュラルさをキープする
室内撮影において、光量の豊富な窓際は撮影のしやすいスペースです。レースカーテンなどで光量を調整することもでき、太陽光を有効に活用できます。

しかし、屋内の様子をしっかり出しながら、モデルとの輝度差をキープしようと考えると、必ずしも条件は整いません。ここではモデルに当たる光をきれいに見せつつ、画面奥に見える窓外の風景を白飛びさせたくないと考えていたため、ライティングすることにしました。

下にライティングをする前の写真を用意しました。太陽光が雲にかかったり、かからなかったりで完全に同一条件ではありませんが、モデルの顔にしっかりとハイライトがついて、白いブラウスにも白飛びが見えます。また背景の明るさももう少し落とせると、窓外の雰囲気がより伝わるという状態です。

自然光のみで撮影

ここで意識したのは、自然光による雰囲気を壊さないように、モデルのハイライトとシャドウの輝度差を縮めること。そして全体の露出を少し暗くして、窓外の風景を見せることです。このために、モデルのシャドウ側にレースカーテンを透過したようなやわらかな光を足す必要がありました。

そこで光源にGODOXのストロボを用意。ストロボアクセサリーに120cm と大きめのソフトボックスを使い、ライトの芯がほとんど感じられないやわらかな光を作りました。簡単に言うと、カメラの横にもうひとつ窓をつけるような狙いです。高さもほかの窓に合わせて、ストロボはフル発光しています。

カメラ機材
NIKON D5
NIKON AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
F2.0 1/400 秒 ISO250 WB:5000K

照明機材
ストロボ:GODOX AD200T TL
ストロボアクセサリー:Neewer 48inch/120cm
ディープソフトボックス
ストロボトリガー:GODOX X1R-N T TL 2.4G

大きな面光源を作れて価格も手頃なソフトボックス

Neewer 48inch/120cm ディープソフトボックス+コメット バタフライスタンド3 段 CBS-3B

このソフトボックスは中面が銀で、光量をあまり落とさないまま、大きな面光源に変えてくれる便利なグッズ。建物に「もうひとつ窓をつける」ようなことが手軽にできます。

照射範囲も広くなるので写真でも腰下まで均一な光を当てることができました。ちなみに一緒に使用しているライトスタンド「コメット バタフライスタンド3 段 CBS-3B」も安定感があっておすすめです。


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