イラストレーションで人物を表現する際には、描き込むところや省略するところの取捨選択、デフォルメと写実のバランスを考える必要があるでしょう。とりわけ「美少女」のイラストを制作する場合は、デフォルメの中に写実的な要素を加えて描写することで、女性らしいセクシーさを表現できます。体の一部をあえて写実的に描写し、肉体の質感を表現するには、強調したい部位の「肌」をいかにリアルに塗り込むかがポイントです。
「美少女イラストのリアルな肌の塗り方」では、女性キャラクターの表現について「どこに注意したらリアルに見えるのか」を切り口とし、各パーツの描き方、そして塗り方を詳細に解説。体の各部位が持つ特徴を示しつつ、表情やポーズの作例も複数パターン用意しています。
本記事では、「3.上半身の塗り方」より、女性特有の要素を強調することでセクシーさを演出できる「背中」と「腰」の塗り方について紹介します。
背中・腰の塗り方を知ろう
正面のアングルに比べて、凹凸がないために影がつきにくく魅力を出しづらいと思われる背中や腰周りですが、女性特有のくびれやおしりの塗りを工夫することで、セクシーな女性を演出することができます。
背中・腰の基本を知る
背骨を中心に、肩甲骨やおしりのライン、腰のくびれをバランスよく描いていきましょう。
【ワンポイント】
背中は正面と比べて凹凸が少ないため、バランスを整えて描くのが難しくなります。中心となる背骨を先に描き、肩甲骨、おしりのラインなどあたりをつけながらバランスを整えて描いていきましょう。
背中・腰の影
背中は肩、背甲骨と盛り上がり、腰のくびれにかけて細くなり、おしりでまた盛り上がる形になっています。背甲骨や背骨のラインには影を描き込み、背中の筋肉によるシワ、凹凸なども表現しましょう。
- 肩甲骨は「ハ」の字に描き、影を入れていきます。
- おしりのラインはおしりの円周上に位置し、おしりの柔らかさを表現したり、腰周りのバランスを把握するのに便利です。
- 影は背中のラインに沿って表れます。光源の方向を考え、肩甲骨・くびれにかかる影を考えましょう。
- くびれ周りから、背骨のラインに向けて斜めの影を入れると、腰のラインが強調されます。
様々なポーズによる背中の描き方
ポーズの違いにより背中の形も変わってきます。ここではポーズの他に光源を意識した描き方を解説していきます。まず、光源の方向を決めたら、その光によってどこに影が入るかを考え、引き締まった筋肉、脂肪をイメージして魅力的に仕上げましょう。
背中を丸めて座るポーズ:正面上方からの光源
正面上からの光源は、絵を描く上で基本となるものです。余計な影が出にくいので美しいラインを描くことができます。背中を丸めると肩甲骨が広がり、脚を曲げて座ると腰の筋肉や脂肪が下に引っ張られて、凹凸の少ない背中になります。
引っ張られるのでツルンとした凹凸の少ない背中になります。
背中を反ったポーズ:左奥上方からの光源
奥側から光が当たるので、手前の肩甲骨から胸・腰あたりまで影が伸びます。影を腰周りに入れることでおしりから腰・くびれが強調されます。
腰をひねったポーズ:左上方からの光源
腰をひねり、反った肩に光が当たり、右肩・肩甲骨の下のくびれにまで影がかかります。肩甲骨は背中の中でも一番飛び出しているパーツなので、右肩の肩甲骨には光が当たります。さらに腰の筋肉の影をきちんと描き込むことで、美しいウエストラインを表現できます。
背中の描き方
スマートな背中
筋肉、脂肪ともに少なくスラッとした背中は、凹凸が少ないため、影が少なく体のラインをいかした色づけが多くなります。
ふくよかな背中
脂肪のついた体型は、柔らかく包容力があるイメージを与えます。食い込んだ水着やはみ出そうな肉感を意識して塗りましょう。
- 背中についた肉は丸みの影で表現する。
- お腹まわりに影を入れて柔らかい印象にする。
10代前半
10代前半の少女の体はまだまだ成熟しきっていないので、凹凸が少なく影もあまり出ません。影を控えめに入れることで幼さが強調されます。
10代後半~20代前半
10代前半に比べて体つきは大人になり、くびれや胸といった部分が強調されてきます。さらに新陳代謝が良くなった分、スレンダーで健康的な姿になります。
少し筋肉を描くことで影の量が増し、よりリアルな背中を描くことができます。
背中・腰の塗り方
STEP1
骨格、筋肉のバランスを理解してラフを描いていきます。肩甲骨、背骨の位置など、背中のバランスを整えるのに大切なパーツも描き込み、後々の影入れの目安とします。
STEP2
線画をおこし、ベタ塗りした後に影を描き込んでいきます。ここの塗りは影だけでなく、質感となる色も塗っていきます。
STEP3
ステップ2で塗った部分から影となる部分だけを塗り重ねていきます。
STEP4
強調したい箇所に重点的にハイライトを入れて完成です。