ウエディングフォト撮影&ライティング実践講座
第5回

撮るチャンスの少ない小物・アクセサリー類は、式が始まる前に押さえよう

結婚式とは、多くの人にとって、一生の思い出になる人生の一大イベントです。新郎・新婦の晴れ姿はもちろん、式に出席した親類縁者の顔ぶれや表情は、その日、その瞬間にしか存在しえないものです。それだけに、結婚式を記録に残すウエディングカメラマンの責任は重大。絶対に失敗できない過酷な仕事です。

では、ウェディングカメラマンに求められる技術や素養とは、一体どういったものなのでしょうか。「ウエディングフォト撮影&ライティング実践講座」では、現役のウエディングカメラマンが仕事に臨む際の心構えから段取り、必要とされる技術、仕事環境にいたるまで詳細な解説を行っており、ウエディングカメラマンという仕事を理解するのに最適な一冊です。

本記事では、Chapter3「ウエディング小物の撮影&ライティングテクニック」より、意外に重要な「人物以外の被写体」についての言及を紹介します。

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ウエディングフォト撮影&ライティング実践講座

 

人物以外の撮影で意識したいポイント

ウエディングでは新郎新婦以外の被写体に対し、どんなところに注意して撮影に臨んだらいいのでしょうか。撮るタイミングやおすすめのライティングは? まずはそのポイントについて考えます。

ウエディングで使うものは、どんなアイテムでも撮影しておくと思い出になります。とくにこうしたシューズは、式がはじまってからでは単体で撮影できません。支度部屋では、意外に数多くのアイテムが撮影できます。 Canon EOS-1D X / EF70-200mm F2.8L USM / F3.2 / 1/250秒 / ISO100 / 110mm

具体的に押さえたい、人物以外の被写体について

ウエディングの撮影で人物以外に押さえておきたい被写体としては、やはりアクセサリー類は必須。具体的には、まず結婚指輪。そして、ネックレスやイヤリング、髪飾りなどの装飾品がこれに該当します。また、ウエディングドレスもまだ着用する前のものを単一で撮っておきたいです。花類も撮影すべき必須の被写体。これはブーケに止まりません。例えば、会場内の花の装飾なども、ふたりがこだわってオーダーしている可能性が高いです。料理も出されたものはなるべく全部押さえましょう。ふたりの結婚式のために用意された特別料理だったりするからです。

ほかにも、ウエルカムボードや列席者のいない会場風景、披露宴のテーブル、飾ってある写真や受付でプレゼントされたぬいぐるみなど…被写体は多岐にわたります。

なお、打ち合わせの際に当日の撮影で撮るべきものを聞き出しておくのもいいです。例えば、お母さんがリングピローをつくってくれるという情報を聞ければ、当日はリングピローの写真を確実に押えることができます。

支度部屋で撮影した1枚。うまく小物を組み合わせることで、支度部屋でも十分雰囲気のある物撮りが行えます。ここでも三脚は使っていません。 Canon EOS 5D Mark II / EF24-105mm F4L IS USM / F4.5 / 1/60秒 / ISO320 / 90mm

それぞれで異なる「撮るタイミング」について

結婚式がはじまると、被写体の中心は当然新郎新婦になります。小物類に関しては、ゆっくり撮るような時間はなくなるため、この多くは式がはじまる前に撮影します。わたしの場合は毎回、新郎新婦の入り時間に合わせて会場入りし、支度中に脇でドレスやアクセサリー類の撮影をどんどんはじめます。ちなみに撮影の順番はドレスから。ドレスは大きく、屋外に持ち出し撮影することもあるためです。早い段階で撮り終えておくと気持ちが楽になります。なお、ヘアメイクがはじまったら、その様子も同時並行に撮影していきます。

誰もいない挙式会場の写真は、式のはじまる直前に撮影します。とくに1日に何件も婚礼を行う会場だと、自分のタイミングでは撮影できません。一方、披露宴会場の場合は、はじまる直前まで準備をしています。誰もいない披露宴会場の写真は、挙式が終わって新郎新婦が支度部屋に戻った隙に撮りに行くことが多いです。完成した会場の全景、卓のテーブルの寄り、花々の装飾などを撮影します。少ない時間で撮るため、ややバタバタしながら押さえていくことになりますが、このあたりは仕方ありません。全体のスケジュールを頭に入れながら、冷静に被写体を押さえていきます。

小物を撮る際に使用するストロボセット。クリップオンストロボとワイヤレスコントローラーはいずれもカクタスを、ミニ三脚はマンフロットを使用しています。

アクセサリーを撮る際の実践的な撮影テクニック

小物類の撮影では、やはり逆光や半逆光を使うことが多いです。やわらかい光で立体感が演出しやすいためです。順光で撮ることは滅多にありません。この際も窓際の光源を活用します。

撮影は大抵支度部屋で行いますが、もし自然光がうまく扱えない環境の場合はストロボを発光します。ここで多用するのが、クリップオンストロボとイヤレスコントローラー、ミニ三脚のセット。コンパクトで持ち運びしやすいため、結婚式当日の撮影では非常に便利。適宜小物用の撮影に使用します。なお、静物の撮影は三脚を使い、きっちり構図を決めて撮るイメージがありますが、結婚式ではそこまで撮影に時間はかけられません。撮影は基本手持ちで行いましょう。

また、こうしたアクセサリーを取り扱うのに、わたしが必ず携帯するのが、手袋とレンズ拭き。白手袋はアクセサリーを触る際に、レンズ拭きは手垢や指紋、ホコリなどを取り除くために使用します。

小物撮影では必ず白手袋をつけます。アクセサリーは、この日のために新郎新婦が用意した大事な装飾品です。素手で触ってはいけません。取り扱いにも細心の注意が必要です。レンズ拭きはいくつも携帯しています。

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