美しく幻想的な星空ポートレートに仕上げる
ポートレートの繊細なレタッチもAIテクノロジーを駆使した画像編集ソフト「ルミナー4」ならスライダーを操作するだけ!
写真編集ソフトを選ぶ時に、毎月定額を支払うサブスクリプション方式の製品を敬遠している人にオススメなのがSkylum社の「ルミナー4」だ。買い切り型なので安心感がある。しかしなんと言っても革新的なツールとAIテクノロジーが写真編集を効率化し、完成度も上げられるのが魅力だ。繊細な作業が求められ手間がかかるポートレートの肌修整もスライダーひとつで簡単!色やトーンに関してもプリセットや豊富なカラースタイルを適用するだけでイメージをガラリと変えることができる。
連載第3回目となる今回は、星空ポートレートを美しく幻想的に仕上げる調整について解説する。
星空ポートレートで重要なのは被写体を強調するためのライティング。普通、ホワイトバランスを電球色や3300Kといった青系にして撮影すると、ストロボが当たった部分が青くなってしまう。そこでストロボに3400~4600Kくらいのオレンジ色のカラーフィルターを装着して(筆者は3800Kのフィルターをよく使う)撮影すると、ストロボ光が当たった肌部分を自然な肌色で写すことができる。これが「カラーシフト」という手法。このライティングがきちんとできているかどうかで現像時に大きな影響が出てしまう。現像でいくら星空の色を調整しても、ライティングした部分の色を変えるのは困難を極めるからだ。レタッチで修整するとなるとかなりの根気と技術が必要になるということを覚えておこう。
もう一つ注意したいのは、ポートレート撮影なのでピントはモデルに合わせること。超広角レンズを使うことで絞り開放でもパンフォーカスに近づけられる。
星空を美しく仕上げるコツ
天の川や星ひとつひとつが持つ個性的な色を大切にすることが美しく仕上げる秘訣だ。まず[ライト]ツールで土台となる明るさとシャドー部を調整する。ホワイトバランスだけで空の色をコントロールしようとすると天の川や星の色が失われてしまうので、シャドー部の色調整は最後に行う。
「ルミナー4」とは
RAW現像が可能な高機能画像編集ソフト。AIを活用した多彩な自動補正機能と高度な対象物認識機能を搭載し、“選択するだけ”のプリセットの数は60以上。画像の管理から編集、仕上げまでこの一本で完結する。税込価格10,560円。
https://skylum.com/phototechnic
STEP1 人物と星空が調和するように全体の明るさとコントラストを補正する
この作例はモデルの後ろからオレンジ色のフィルターを装着したストロボを照射し、ホワイトバランスを白色蛍光灯にして撮影している。人物がシルエットになる場合は星空の色の出方を優先して明るさやコントラストを調整するとよい。作例のように天の川を取り入れる場合は中心となる銀河の色をなるべく変えないよう意識し、ホワイトバランスに頼りすぎないのがポイントだ。
基本的な補正を行うエッセンシャルモードでは天の川を強調しつつ、地上が黒つぶれしないようにヒストグラムを確認しながら調整していく。[ランドスケープ・エンハンサー]は適用量を抑えめにするのがポイントで、作例では自然な色合いの彩度となる「ゴールデンアワー」をわずかにプラスした。
STEP2 クリエイティブモードで星空の見え方を調整する
クリエイティブモードの[マット]ツールでシャドーとハイライトを馴染ませる。マット効果で全体的に白っぽくなるが、量を加減して程よく補正。さらに[神秘的]の「シャドー」を大きくスライドさせつつも量をやや控えめにすることで全体的に明るくふんわりとした雰囲気を出していく。この後、ポートレートモードの[オートン効果]を少々加えて最終ステップへ。
Before
ユニークな[神秘的]ツールは、明るい部分に優先順位をつけてコントラストを高めながらグロー(Glow)効果を与える。この作例の場合、詳細設定の「滑らかさ」の値をマイナス側にすることで天の川のディテールを調整できる。
After
STEP3 プロフェッショナルモードで星空の色みを微調整しつつ暗部を整える
プロフェッショナルモードの[色補正]で色かぶりを補正し、[スプリットトーニング]で細部の色調整を行う。まず、肌色と天の川の銀河のハイライト部に暖色を入れて白飛びを緩和しつつ発色を良くし、シャドー部にブルー系をプラスすることで、天の川全体のホワイトバランスを崩さずに青っぽい幻想的なイメージに仕上げていく。これはレタッチの一番最後に行うとよい。
Before
[色補正][スプリットトーニング]の他、ハイライト、中間調、シャドー別に調整できる[高度なコントラスト]でバランスを整えて、画像の編集は終了だ。
After
Finish!
幻想的な蒼い星空世界をイメージした。普通に現像すると空の暗い部分はグレーになるのだが、それでは幻想的とは言いがたい。天の川や星の色を残しつつ、シャドーがつぶれないようにメリハリを出す。そのためには部分補正が必要なのだが、ルミナー4は対象物認識機能によっていちいちマスクをきらなくていいのがなんとも便利! 現像時は人物に施したライティングの白飛びを抑えつつ肌色も出し、星空の色を美しく引き出すことを心がけた。
誌面で紹介したテイストをあなたの写真で試すことができるプリセットを読者プレゼント!
記事で解説したテイストのプリセット「Starry Sky_1」のほかに、もう1種類のプリセット「Starry Sky_2」を読者プレゼントとしてご提供します。ダウンロード可能期間は7月18日(土)12:00~8月19 日(水)17:00。対応ソフトはルミナー4です。ダウンロードはこちらから。
Before
【Starry Sky_2の特徴】
作例は天体用のキヤノンEOS Raで撮影したもので、このプリセットは天体用カメラと相性が良い。一般的なカメラのRAWデータに適用すると少し明るく派手になるかもしれないが、ホワイトバランスと明るさを調整することで「Starry_Sky1」とは違ったテイストを楽しめる。ぜひ、お試しあれ!
After
耳より情報!
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<メーカーサイト>
Luminar4
https://skylum.com/phototechnic
※この記事は「フォトテクニックデジタル2020年8月号」より転載しています。