飛行機写真の教科書
第8回

ブルーインパルスの見どころ&撮るコツは、航空機だけが被写体じゃない

旅客輸送、物流、防災、救難、軍事など、様々な領域で活躍する航空機。「もしも空を飛べたら、何がしたいか」という人々の願いを具現化し、用途に特化した機体の機能美は、写真の被写体としてもきわめて魅力的です。

飛行機写真の教科書」では、「飛行機写真」の定義から航空機の種類や運用に関する基礎知識、飛行機撮影に適した機材、撮影場所の選定をはじめ、季節や状況ごとの表現テクニックまで幅広くカバー。

一定の専門的な知識と高い撮影技術を必要とし、難易度が高めの撮影ジャンルではありますが、マスターすれば写真表現に大きく幅を持たせられることは間違いないでしょう。

本記事では、Chapter4「軍用機を撮る」より、「ブルーインパルス」撮影時の見どころについての解説を抜粋して紹介します。

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飛行機写真の教科書

ブルーインパルスを撮る

華麗なアクロバット飛行で私たちを魅了する航空自衛隊のブルーインパルス。きれいに写し撮るには、あらかじめ展示課目を把握しておくことがポイントだ。

T-4 ”ブルーインパルス”/航空自衛隊 入間基地:11月 フェニックスループを行うブルーインパルス。6機による密集編隊は、画になる課目だ。 Nikon D500 AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR(750mm相当) F6.7 1/1500秒 ISO100 WB晴天

展示課目を把握するのがポイント

航空自衛隊のブルーインパルスは、6機のT-4練習機による華麗なアクロバット飛行を見せる。展示課目は、雲底高度や水平視程などの気象条件ごとに決められているが、フルアクロを実施するのは第一区分で、気象条件が少し悪化すると第二区分、第三区分というように、縦系の演技から水平系の演技に置き換わっていく。演技区分は離陸直後の天候偵察においてリーダーが宣言するため、無線で確認しておくと、その後の演技の流れを把握しやすい。また、演技中に天候が悪化すれば、途中から区分が変わることもある。ブルーインパルスを撮影するポイントは、展示課目を把握して、あらかじめ撮影アングルや使用レンズを決めて準備しておくことである。密集編隊やソロは超望遠レンズを使い、スモークの軌跡を意識した構図を心がけよう。地上風景を絡めた撮影や、スタークロスやバーチカルキューピッドなどの、いわゆる描きモノ系はスモークが大空一杯に広がるので、超広角レンズを準備しておきたい。

ブルーインパルスのさまざまなシーン

稲穂とスタークロス
ブルーインパルスは会場外でも見られる。大空に広がる大きな星と、たわわに実った稲穂と絡めて撮るべく、魚眼レンズを使用した。

ダイヤモンドテイクオフ・ダーティターン
密集編隊時は超望遠レンズで狙いたい。4機によるダイヤモンド隊形の撮影は、離陸直後とファンブレイクが狙い目だ。

整備員
飛行機を操縦するパイロットに注目が集まりがちだが、飛行機を完璧な状態に仕上げる整備員もまたブルーインパルスの一員だ。

コクピットのパイロット
エンジン始動時には、パイロットと整備員はハンドシグナルでやりとりをする。毎シーズン変更されるヘルメットのデザインも見どころだ。

ソロ機によるロール
1~4番機は編隊演技、5番機と6番機はソロ演技を担当する。ソロ機はロールやループなど、機体の最大性能を発揮した機動を行う。

観客を入れて
ワイド・トゥ・デルタループは、広角レンズで狙いたい課目だ。空を見上げる観客を取り入れて、航空祭の雰囲気を表現した。

地上展示機とともに
地上展示されているF-4とF-15の背後を飛ぶブルーインパルス。飛行コースとスモークの広がりを見越して構図を決めておき、撮影した。


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