子どもたちは、彼らにしかない感性で世界を見ています。その想像力と感性は、時として絵や造形などの形で表現され、大人たちの想像を超えた輝きを放つものです。
イラストレーター、デザイナー、美術監督として知られ、二児の父でもあるロマン・トマさんは、二人の愛息が描いた絵に刺激を受けて、自らの持つ技術を使い、彼らが表現した作品の再解釈を試みました。
「親子デザイン工房」は、ロマン・トマさんと二人の息子、竜之介さんと樹さんの手によって生み出されたイラストレーションをまとめた共著です。本書では、11歳の竜之介さんと9歳の樹さんが発想し、形にしたイラストを、ロマン・トマさんがプロのクリエイターとしてより完成したイメージへと”翻訳”するまでの流れを、イラストレーションとコメントの両面から楽しむことができます。
本記事では、竜之介さんが生み出した、謎めいた部族「クーモ」をご紹介します。
“雲の上の住人”クーモ
トマ
3本足で腕が身体から離れていて、紫の宝石のような形をしていて非常に奇妙ですが、ひと目見て、竜之介が想像したこのキャラクターたちがとても魅力的だと思いました。もとのキャラクターたちのデザインがシンプルで整っているので、私はただ、小さな部族を舞台に描くことにしました。死体の周りに集まるというアイデアは、竜之介が描いたマントなしバージョンの1体からヒントをもらいました。マントあり・なし両方のバージョンに意味を持たせ、キャラクターが持つ感情を表現したいと思いました。描いたときには思いもよらなかったのですが、この絵は小さな「クーモの冒険」の最初の1作となりました。
竜之介
最初は、キノコっぽいキャタクターを作るつもりでしたが、頭の形を見て、フードをかぶせたくなりました。このキャラクターは、魔法とテクノロジーが混ざってできあがったものです。腕と胴体は離れていて、3つ足なので、ただの小さな人間ではないことは明らかです。お父さんの絵の雰囲気が好きです。特に、綿のような花が雲のテーマとよく合っているからです。
<玄光社の本>