第36回 写真の会賞 受賞作品決定

『東欧1989 EASTERN EUROPE』より ©Yuriko Ochiai

写真の会は、第36回「写真の会」の受賞作品を決定した。受賞作品は、作品集『東欧 1989 EASTERAN EUROPE』、『絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて』、展覧会「東欧 1989 EASTERAN EUROPE」、「CORNEREVA―ROMANIA 1991」、「絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて」[作者:落合由利子]が選ばれた。今回の選考会に参加した会員は、沖本尚志氏、河島えみ氏、北 桂樹氏、小林紗由里氏、タカザワケンジ氏、深川雅文氏、福田慎一氏の7名。

本受賞を記念し、受賞記念展覧会が2027年2月15日(月)〜2月21日(日)まで、東京都新宿区のギャラリー、プレイスMで開催される。なお、受賞式は2027年2月20日(土)に行われる。


<受賞作品と作家の紹介>

【第36回 写真の会賞 受賞作品】
作品集と展覧会「東欧 1989 EASTERN EUROPE」「CORNEREVA―ROMANIA  1991」「絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて」に対して[作者:落合由利子]

・作品集
『東欧 1989 EASTERAN EUROPE』(プルナブックス、2025年)
『絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて』(プルナブックス、2025年)

・展覧会
「東欧 1989 EASTERAN EUROPE」(IG Photo Gallery、2025年)
「CORNEREVA―ROMANIA 1991」(ギャラリー冬青、2025年)
「絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて」(OGU MAG、2025年)

『東欧1989 EASTERN EUROPE』より ©Yuriko Ochiai
『東欧1989 EASTERN EUROPE』より ©Yuriko Ochiai
『東欧1989 EASTERN EUROPE』より ©Yuriko Ochiai

 

『CORNEREVA―ROMANIA 1991』より ©Yuriko Ochiai
『CORNEREVA―ROMANIA 1991』より ©Yuriko Ochiai
『CORNEREVA―ROMANIA 1991』より ©Yuriko Ochiai

 

『絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて』より ©Yuriko Ochiai
『絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて』より ©Yuriko Ochiai
『絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて』より ©Yuriko Ochiai

【選評】

今回写真の会賞に選出された三作品のうち、「東欧 1989 EASTERN EUROPE」と「CORNEREVA―ROMANIA 1991」は、作者である落合由利子が1989年のベルリンの壁崩壊をきっかけに東欧諸国を旅して撮影した作品と、その続編としてルーマニアに滞在して制作した作品である。当時、世界を二分していた共産主義の崩壊は、イデオロギー崩壊の衝撃と来るべき新時代の幕開けという二重性をもって受け止められた。その衝動に駆られカメラを抱えて東欧に渡った一人が落合だった。

選考会において「上手すぎる」とも評された落合の写真は、スタンダードで飾らない、熟達した技術で制作されたモノクロ写真の魅力にあふれていたが、出会った人物や事物と正面から向き合った情熱の賜物であるように思えた。それは、歴史と真摯に向き合った記録でもある。その態度は、東欧から帰国後に制作されたもう一つの受賞作「絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて」においても伺えた。

受賞作をドキュメンタリーとして見た場合、東欧の民主化という事件はすでに多くの手で報道されているが、女性写真家の眼によって純粋に捉えているという点において、受賞作品は特異なものであると捉えられる。折しも昨今、海外と日本における女性写真家の活動に対する再評価の機運が高まっていることも、作品への評価と重なる。独裁政権が台頭し、戦争の足音が身近に聞こえ、経済に於いては貧富の差が拡大し、インフレと物価高が続いて市民生活が脅かされるいまこそ、写真による純粋なドキュメンタリーの仕事に光を当て、世界の現状を見直す時が来たのではないだろうか。

<プロフィール>

落合由利子 Yuriko Ochiai
1963年、埼玉県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。代官山スタジオを経て、1985年独立。人物ドキュメントを中心に活動後、1989年にベルリンの壁崩壊直後の東欧諸国を巡り、ルーマニアの山間の村で暮らしながら作品制作を行う。作品集に「WINDOW’S WHISPER」(私家版、日本大学芸術学部長賞受賞、1984年)、「話したい 戦争は知らないけれど」(私家版、2021年)、『東欧 1989 EASTERN EUROPE』(プルナブックス、 2025年)がある。著書に『働くこと育てること』(草土文化、2001年)、『絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて』(講談社、2005年)などがある。主な個展に、「働くこと育てること」(全国巡回、2000-2017年)、「東欧 1989 EASTERN EUROPE」(IG Photo Gallery、2025年)、「CORNEREVA-ROMANIA 1991」(ギャラリー冬青、2025年)、「絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて」(OGU MAG、2025年)など。2021年より、現代美術家・スクリプカリウ落合安奈の個展「わたしの旅のはじまりは、あなたの旅のはじまり」(ANB Tokyo:2021年、MYAF2023:2023年、横浜市民ギャラリー:2024年)で、コラボレーションを行う。
WEBサイト:https://ochiaiyuriko.com


<受賞記念展覧会について>

落合由利子「東欧 1989 EASTERN EUROPE」「CORNEREVA―ROMANIA 1991」「絹ばあちゃんと90年の旅―幻の旧満州に生きて」第36回写真の会賞受賞記念作品展覧会

会期:2027年2月15日(月)〜2月21日(水)
時間:12:00-19:00(年中無休)
会場:フォトギャラリー Place M
住所:東京都新宿区新宿1-2-11 近代ビル3F

<受賞式式典>

日時:2027年2月20日(土)18:00〜21:00
会場:フォトギャラリー Place M
住所:東京都新宿区新宿1-2-11 近代ビル3F

source : 写真の会

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