2025年5月31日(土)〜6月22日(日)金柑画廊
金柑画廊にて幸本紗奈写真展「hums behind mirror」が開催される。会期は、2025年5月31日(土)〜6月22日(日)まで。
幸本紗奈氏は、日常の事物や風景を撮影し、見つめ直すことで写真作品を制作する。本展のタイトルにもなっている「hums behind mirror」は、鏡の反射を“現れ”とするなら、そのハミングは言葉や意味になる前の直感的な源泉を指す。幸本紗奈氏は、言葉以前の内面的な“何か”を捉えるため、時間をかけて暗室作業を行う。その作業は、「撮ったときの場所・時間などの情報や意味を排除し、改めて写っているものと向き合う感覚に近い」と話す。本展では、丁寧に形作られた幸本紗奈氏の作品の数々を堪能できるだろう。
hums behind mirror
子どものころの遊びや素朴な関心事が、
実はこれまで人間があらゆる分野から探ろうとしてきた問いと
ひと続きになっていたことに気付くことがある。
どうやら私たちは、いつか覗いた水面の反射にとらわれたきり
そのひとすくいを手鏡にして、肌身離さず持ち歩いているみたいだ。
そこに映る小さな像と、即席の言葉をたよりにしながら日々を過ごしているが、
実はきっと、それ以前、その背後に広がる未知の光景と
もう一度繋がることにあこがれ続けてきた。
誰でも、夜にはいったんその鏡を手放し枕元に置いて眠りにつくのだろうか。
きっともう、その開かれた世界を直接見ることは叶わないが、
不器用ながらも何らかの手段を使ってその気配を感じ取り
かすかな残響に触れることはできるかもしれない。
眼を瞑ること、計算をすること。
他者との手探りの対話から、
あるいは子どもや動物たちの眼差しから。
写真を使い制作することは、私なりの方法のひとつでもある。
また、それらが作者の設けたテーマを離れ、見る人個々の静かで自由な想像力に
奉仕するようなものになってほしいと思う。
(幸本紗奈)


<写真展概要>
幸本紗奈写真展「hums behind mirror」
会期:2025年5月31日(土)〜6月22日(日)
開廊日:木、金、土、日(祝祭日)
時間:12:00〜19:00
場所:金柑画廊
住所:〒153−0063 東京都目黒区目黒4-26-7
展示情報サイト:
https://kinkangallery.com/exhibitions/4071/
<プロフィール>
幸本紗奈(Kohmoto Sana)
1990年、広島県生まれ。2013年、武蔵野美術大学造形学部映像学科・山崎博ゼミ修了。
身の回りのささやかな事物や風景を撮影している。写真にすることで、それらを内的なできごとや見えない領域のしるしとして捉え直し、解読・展開することを通じて制作を続けている。それは、物事が像になる前の気配や、言葉に落とし込まれる前の地点にとどまろうとする試みでもある。第19回写真「1_WALL」ファイナリスト。2019年、初の写真集『other mementos』(Baci)を刊行。